子を持つ親として、一人の女性として、子どものことで悩んでいる、という相談は少なくありません。このコラムでは、子どもとの関係性に悩みを抱える親御さん、もしくはひとり親の方が、どのような窓口に相談すればいいのか、どのような支援を受けられるのかを紹介します。
「子どもを持つ親御さんへの、一人の女性としての支援」
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子どものことで悩む親御さんやひとり親の方は、経済的な問題や子育ての負担、社会的な孤立など、多くの困難を抱えています。そんなとき、自治体の女性支援の窓口ではどのような支援を受けることができるのでしょうか。
本コラムでは、女性相談支援員Aさんにインタビューさせていただき、その内容を通して、同じような悩みを抱える親御さんがどのような支援を受けられるのかを詳しくお伝えします。
子どもに関する相談への支援
- 親御さんはどのような相談をしに、窓口へ来るのでしょうか。
- 直接、女性支援の窓口で子どものことについて相談される場合もありますが、子どもに関する手続きのために相談に来た際に、ご家庭などにおける悩みが発覚して、女性相談支援員につながることが少なくありません。
住民票の手続や保育所の入所手続、児童手当の振込先変更など、一見日常的と見られる手続に関する相談の中で、実は元夫やパートナーからの暴力(DV)を受けていたり、生活環境の変化があったりと、さまざまな悩みとそれに係る課題が明らかになっています。
学校や教育相談所などから案内されて、相談に来られる方も増えています。
- 親御さんへの支援はどのようにされているのでしょうか。支援の具体例も教えてください。
- 日常の手続などから明らかになった悩みや課題について、まずは相談に繋げています。DVや経済的な問題などご家庭内の悩みや、お子さんの発達に関すること、ネグレクト(お子さんの世話が難しいこと)、ご自身の精神疾患など、さまざまなお悩みに対し、定期的にお話をお伺いしながら支援をしています。定期的に相談に来ていただき、普段の悩みやその背景を伺うだけでなく、相談者の方と信頼関係を築き、場合によっては長期的に支援できるよう心掛けています。
支援をする際には相談者の希望を聞きつつ、関係部署・機関とも連携しています。毎年連携会議を開いて各所と関係性を構築しており、当課(女性支援窓口等)を中心として、市役所内の関係部署や各種行政手続(市民課、学務課、国保年金課等)の窓口だけでなく、福祉事務所(社会福祉課)、病院、警察、各種相談機関(保健センター等)等のさまざまな機関と連携していますので、相談内容に応じて柔軟に対応しています。
- 子育てに悩みを抱えている方へのご支援
例えば、発達に課題を抱えるお子さんをお持ちのシングルマザーで、月に一度相談室に通って来られる方がいるのですが、その方にはまず、相談室が息抜きの場となるよう心掛けています。そして日頃の母としての労をねぎらいながら、今後の子育てについて具体的に一緒に考えています。 - 夫婦関係に悩みを抱えている方へのご支援
夫やパートナーが仕事で忙しいため家庭内での協力が十分に得られず、育児や家事の負担が一人に集中してしまい、精神的にも肉体的にも疲弊しているといった声も多く聞かれます。そういった場合でも、家庭内でどのように対応していった方が良いのか、夫とのコミュニケーションの仕方を改善することによって夫婦関係を再構築できないか、相談しながら具体的な解決策を一緒に考えています。 - DVを受けている方へのご支援
例えば、DVから避難するために引っ越す場合は、住民票を非開示にしたり、そもそも住民票を移さない方がよかったりなど、行政手続においてさまざまな工夫が必要になります。お子さんの保険証の問題などもあげられます。どうしたらより安全に避難先での生活を送ることができるか、それぞれのご家庭の状況に応じて一緒に考えています。
- 相談者の方へ、どのようなことを伝えたいですか。
- 私たち女性相談支援員は、女性支援の窓口として、「母子」と一括りにするのではなく、お母さんにはお母さんの人生があり、お子さんにはお子さんの人生があるという考え方で支援しています。親御さんが、一人の女性として相談ができる相手が必要だと認識しています。
こんなことで相談しに行っていいのだろうかと悩まずに、さまざまな悩みについて相談に来てほしいです。困ったことがあった時に、なんでも相談に乗ってくれる窓口があることを、知ってほしいです。
相談室の様子
相談室では、テーブルクロスやお花を飾り、相談者がリラックスして話をすることができるような環境を整えています。相談をしているうちに涙ぐんでしまう方もたくさんいらっしゃいます。そういう時も受け止め、安心して相談できる雰囲気づくりに務めています。また、他の相談員や職員が、お子さんと遊んでいる間に相談することもできます。
相談室には、危険が迫った時にすぐに避難できる経路があり、近くには交番もあり、安心・安全です。
相談者の皆様が安心して話をすることができるよう心掛けていますので、少しでも悩むことがあったら、ぜひ相談に来てほしいと考えています。

【自治体の女性相談室】
さまざまなことについて相談に乗ってくれる場所が各自治体にはあります。女性相談支援員に相談することで、あなたの負担を和らげることが出来るかもしれません。
1人じゃない。一緒に考えてくれる人がいます。
「あなたは1人じゃありません」。本コラムでお伝えしたように、子どものことに関するお悩み、ひとり親としての生活に関するさまざまなお悩み、ご不安について一緒に悩み、考えてくれる「あなたのミカタ」がいます。
「誰にも話せない‥」、「誰かに言っても変わらない」、とお一人で抱え込むのではなく、ぜひ勇気を出してお近くの女性相談支援センターや市区町村の窓口にいらっしゃる、「あなたのミカタ」に相談してください。どんな人にでも困ったときの支援は必要です。
連絡先 | 対応する |
相談先の |
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全国の (所在地ごとの |
各自治体の |
全国の都道府県にある、シングルマザー・シングルファザーの方々の自立支援のための、総合的なサポート窓口です。相談はもちろん、講習会やセミナーも開催しています。 |
#8778
(はなそうなやみ) |
各都道府県の |
困難な問題を抱える女性のさまざまな悩みに関する相談に応じるとともに、女性の抱える問題や状況に応じた様々な支援を行うために都道府県が設置している機関です。 |
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